弱者が弱者のままで?:上野千鶴子先生の東大入学式祝辞を解釈する

こんにちは!

「凡さんす」(@academicocktail)と申します。

2019年4月12日、東京大学の入学式の祝辞で、上野千鶴子先生が感動的なスピーチをされました。

スピーチの全文が東京大学のウェブサイトで公開されており、入学式の出席者のみならずインターネット上でも絶賛されています。

一方で、様々な角度から批判も少なくない今回のスピーチ。

今回は、ネット上で見かけた上野先生のスピーチへの批判を1つ取り上げて、それに対する私の主張を書きたいと思います。

2分ほどで読み終わる記事ですので、よろしければお付き合いください。

上野千鶴子先生は、「フェミニズム」の定義を書き換えた?

今回は、当該スピーチの中でもこちらの部分を取り上げたいと思います。

…強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

出典:平成31年度東京大学学部入学式 祝辞

「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」

という上野先生の主張に対して、こういった反論をTwitter上でいくつか見かけました。

フェミニズムは女性の権利の拡張を求める動きであって、女性を弱者とみなす思想とは異なるのでは?

たしかに、「フェミニズム」を辞書で引くと、

男女同権と性差別のない社会をめざし、女性の社会的・政治的・経済的地位の向上と性差別の払拭を主張する論。一九世紀から二〇世紀初頭の欧米諸国を中心とする女性参政権運動の盛り上がりを第一波、1960年代以後のウーマン━リブに代表される動きを第二波と区別することが多い。

出典:大辞林 第三版 コトバンク

とあります。

女性の権利の拡張、男女同権、性差別のない社会を目指す思想とは矛盾する、あるいは少なくとも同じではないように聞こえます。

女も男と同じように自立して自分の人生を自分で決められます、でも弱いから守ってね

というのは、もしかしたら矛盾しているように聞こえるかもしれません。

しかし、私の考えでは、「弱者が弱者のままで尊重される」ことと「弱者の権利を拡張すること」は、矛盾しないどころか、同じことを言っています。

以下で「弱者が弱者のままで尊重される」とはどう言うことか、上野先生の言葉の私なりの解釈を載せますね。

※以下は、スピーチ全文を読んだ上でのあくまで私の解釈でして、上野先生の本来の意図と異なる可能性はあります。ご了承ください。

「弱者が弱者のままで尊重される」とは?

弱者が弱者のまま尊重される社会とは?

・「弱者が弱者のまま尊重される」

ことを求める一方で、

・男女で同じ権利を求めるとはどういうことなのか。

これは、そもそもの「 ”強者” と “弱者” という格差をなくしてしまうアプローチ」だと考えればわかりやすいかと思います。

たとえば、「男性は女性より力が弱い」という一般的傾向があります。

この傾向は、「女性が夜道を一人歩きすると危ない」という状況に結びついていますね。

では、この状況に対して、「弱者が弱者のままで尊重される状態/尊重されない状態」ならそれぞれどう応答するか考えてみました。

<弱者が弱者のままで尊重されない状態>

状況:女性が夜道を一人歩きすると危ない

提案:女性は外出させないようにしましょう。

結果:男性は夜に外出できるが、女性はできない。

これは、「弱者」が「強者」と同じことをすることを妨げられているので、「弱者が弱者のまま尊重されて」いない社会であると言えます。

一方で、「弱者が弱者のままで尊重される状態」だとどうなるか。

<弱者が弱者のままで尊重される状態>

状況:女性が夜道を一人歩きすると危ない

提案:性犯罪防止のため、再発防止のアクションを強化しましょう。

結果:男性も女性も夜に外出できる。

これによって、「弱者」が「強者」と同じことができるので、「弱者が弱者のまま尊重される」社会であると言えます。

このように、弱さが問題にならなくなるように社会の仕組みや風土を変えてしまうこと(ユニバーサル・デザイン的な)が、「弱者を弱者のままで尊重する」ということではないでしょうか。

男性的な論理でデザインされた社会の中で、「権利あげるよ!自由にして!はい、どうぞ!」ってのは無理があるんですよ。

社会の仕組みや風土を変えていくことが、「弱者を弱者のままで尊重すること」(= 弱者の権利を拡大すること)につながるはずです。

もちろん、女性だけじゃなくて男性も、どちらでもない方も、強くあらなくても生きやすい社会が実現できるように、私たちは行動することを求められているのではないでしょうか。


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