国連人権理事会とは?アメリカが離脱したのはなぜ?

…などというツイートをしたりもしましたが、幸い私は収益を気にせずにブログを書ける状況にあるので、書きたいことは書こうと思います(笑)

というわけで、先週米国が国連人権理事会を離脱した件について、調べたことをまとめました!新聞などで読んだよりももう一歩深く知りたい方、ぜひ以下に目を通してください!!

※以下、英文の日本語訳は管理人によります。


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国連人権理事会(UNHRC)とは?

国際連合人権理事会United Nations Human Rights CouncilUNHRC)とは、人権と基本的自由の促進と擁護に責任を持つ国連の主要な政府間機関です。具体的には、各国の人権状況を調査して報告書を作って、問題があれば当該政府に改善を促したり、各種NGOへの情報提供を行ったりしています。

47カ国が理事国として選出され、普遍的・定期的レビュー(UPR)と呼ばれるプロセスで全国連加盟国の人権に対する取り組みを評価します。理事の任期は3年で、理事会は年3回開かれます。

※もっと詳しく見知りたい方はこの辺りをご参照ください!↓

・ 人権理事会 | 国連広報センター

OHCHR | HRC Welcome to the Human Rights Council

米国が離脱したのはなぜ?

さて、そんな国連人権理事会から、米国は離脱することを決定しました。なぜか。端的に言うと、「米国の同盟国であるイスラエルばかりが非難され続けている一方、他国での人権侵害が真っ当に取り扱われていない」ことが動機です。

以下は、この件に関する米国国連大使ニッキー・ヘイリー氏のコメントです。

“For too long, the Human Rights Council has been a protector of human rights abusers, and a cesspool of political bias,”

“Therefore, as we said we would do a year ago, if we did not see any progress, the United States is officially withdrawing from the UN Human Rights Council”

“When the Human Rights Council treats Israel worse than North Korea, Iran, and Syria, it is the Council itself that is foolish and unworthy of its name. It is time for the countries who know better to demand changes”

出典:U.S. withdraws from U.N. Human Rights Council – NBC News

訳:

あまりにも長い間、人権理事会は人権抑圧者の保護者であり、政治的バイアスの温床でした。

したがって、1年前にも言いましたように、もし進歩が見られないようであれば、アメリカ合衆国は公式に理事会から脱退します。

人権理事会がイスラエルを北朝鮮やイラン、シリアよりも悪く扱うようであれば、理事会そのものがばかげており、その名にふさわしくありません。各国は、変化を要求する賢明な国がどこであるかを知るべき時に来ています。

実は、アメリカと人権理事会の対立は今に始まったものではありません。実は、理事会が発足した2006年にも、当時のブッシュ大統領が今のトランプ政権とほぼ同じような理由で理事会の動きを良しとせず、加入をボイコットしました。アメリカが理事会に加入したのはオバマ政権に変わってからであり、今回の離脱は、その状態が元に戻っただけであるという言い方もできます。

“as we said we would do a year ago”(1年前にも言いましたように)とある通り、今回離脱を表明した米国国連大使のハレー氏は、昨年も人権理事会から離脱する可能性を口にしていました。人権を守るのが仕事であるはずの人権理事会であるはずなのに、実際には中国やサウジアラビアなどの、世界有数の人権抑圧国家が理事に選ばれている。この点に不信感を覚えているというのが、彼女(つまりアメリカ政府)の主張です(Remarks at the Graduate Institute of Geneva on “A Place for Conscience: the Future of the United States in the Human Rights Council”)。

人権理事会の加盟国

国際協調の動きに逆流するトランプ政権の方針の是非は一旦脇に置いて、ここで、人権理事会がどのような状態にあるのか、見てみることにします。

全体的な傾向

国連人権理事会理事国の人権状況。Freedom in the World | Freedom Houseより管理人作成。

上の図と表は、アメリカに拠点を置くNGOフリーダム・ハウスが発表している「世界の自由度」(Freedom in the World)にしたがって、着任当時の理事国の人権状況を評価したものです。フリーダムハウスは世界各国の人権状況を三段階で評価していますが、現理事国47ヶ国のうち、「自由」(Free)と評価されているのは21ヶ国、「部分的に自由」(Partly Free)とされているのが13ヶ国、「自由でない」(Not Free)と評価されているのが13ヶ国となりました。

確かに、これを見ると、理事会に非協力的な態度を取るアメリカの気持ちもわからないではありません。では、なぜこのように、人権状況の悪い国が理事会に加入することになるのでしょうか?

なぜ人権状況の悪い国が入っているのか?:ベトナムの例

個別の加盟国すべてについて加入の経緯をまとめるとキリがないので、ここでは一国だけ例を示すことにします。2014-2016年の間常任理事国であったベトナムは、加入当時のフリーダムハウスの評価によれば「自由ではない」国とされ、人権状況に問題がある国ということになります。実際に、2007年には、学生に対し人権教育を試みた活動家が4年間留置されるなど、非常に抑圧的な体制が取られていました。

そんなベトナムが理事に選出された理由として、米国初のデジタルメディアVICEの記事は次のように分析しています。

The cynical explanation would be money. Vietnam has frequently been touted as a star economic performer and is projected to be one of the world’s fastest growing economies between now and 2050. Of particular interest to investors is the country’s nuclear energy, with the US, South Korea, and Russia already courting Hanoi to get in on an industry estimated to be worth $50 billion by 2030.

出典:Why Was Vietnam Elected to the UN Human Rights Council?

訳:

冷笑したくなるようなその説明要因(管理人注:各国がベトナムを理事に選んだ理由)は、おそらく金である。ベトナムはしばしば経済的スターであると見込まれており、今後2050年までの間、世界で最も急速に経済成長を遂げる国の1つであると見積もられている。投資家にとって特にうまみがあるのは同国の原子力エネルギーだ。すでにアメリカや韓国、ロシアがベトナムを産業加入に誘っており、その規模は2030年までに500億ドルに達すると見積もられている。

「アメリカもしっかり金に動かされとるやんけ!!」と言いたくなるところではありますが、ともかく、このように大国の私的な利害によって、抑圧的な国が人権理事会のメンバーに選ばれているという現状があるのです(^^;;

仮に、アメリカが同盟国イスラエルの利害を守るための建前として、今回のような離脱理由を口にしたのだとしても、真っ正面からの反論は難しいというのが人権理事会の本音でしょう。

おわりに:人権問題は今後どうなる?

今回は、米国離脱の動機となった国連人権理事会の現状を、データに即して深掘りしてみました!

アメリカが離脱の理由として掲げた理事会の「不平等」は、まったくのでっちあげではないということがおわりいただけたかと思います。

ただ、アメリカの肩を持ってばかりもいられません。依然として、世界的な人権問題は、国際協調を通した解決を必要としているからです。

アメリカは今回の離脱以降、どのようにして人権という課題に取り組んでいくのか、具体的な方針は示しませんでした。パリ協定やTPPからの離脱に見られるように、様々な分野で孤立主義を進めるトランプ政権ですが、国際的な人権問題の取り組みについても、各国と足並みを揃えない方向で考えているのでしょうか。

みんなが少しずつポイ捨てをすれば教室が少しずつ汚くなるのと同じメカニズムで、各国が単独で利己的に行動すれば、国際社会が良くなることは難しくなります。確かに、イスラエルばかりを非難する理事会の態度にはにはうんざりしたかもしれません。それでも、世界最高のパワーを有するアメリカには、掃除当番制度から抜けて自分の机周辺だけを掃除するのではなく、国際協調の枠組みの中でその役割を果たすことを期待します。


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