シリア内戦:発端から国際的拡大までの流れをわかりやすく解説

こんにちは!「凡さんす」(@academicocktail)です!

2018年10月現在、ネットの世界では安田さんの自己責任論で論争が起きていますが、ここで彼が取材していたシリア内戦自体にも目を向けてみましょう。

シリア内戦はあまりにも複雑で、全てをブログ記事で説明することは困難なので、今回は内戦が始まってから最初の3年間、国際社会に拡大するまでの経緯をまとめました。

見出しを読めば流れがわかるようにはしてありますが、あまり長くはないので、ぜひ本文にも目を通して理解を深めていただければと思います。

※以下、インターネット資料はいずれも2018年10月31日最終閲覧

(1)発端:きっかけは非武装の反政府デモ

シリア内戦のきっかけとなったのは、アサド政権の退陣を求める民主化デモです。

2011年のはじめ、シリアの周辺にある多くの中東諸国では、権威主義政権の打倒・民主化を求める一連の抗議運動(いわゆる「アラブの春」)が行われていました。

アラブの春の流れは、やや遅れてシリアに到着します。

チュニジアやエジプトで成功した長期独裁政権の打倒に刺激されて、シリアで長期独裁政権を握るバッシャール・アサド大統領の退陣を求める声が各地で徐々に上がりはじめます。

3月には抗議運動が本格化し、首都ダマスカスやダラルなど複数の都市で、数百人規模のデモがポツポツと発生しました。

(2)政府のアメとムチ:融和と武力弾圧

市民の抗議デモに対し、政府はアメとムチをもって対応を試みました。

アメ:政治犯の釈放、デモ参加者への対話の持ち掛けなど。

ムチ:武力弾圧、デモ参加者の逮捕など。

しかし、長期政権下での経済状況などに不満を持っていた市民の怒りは大きく、アメを与えても、ムチで叩いても、抗議は収まりまらないどころか、どんどん膨れ上がります。

ここで、軍隊が政権を見限って市民側に寝返るなどすれば、市民側の勝ちで決着がつくはずでした。

しかし、アサド大統領の親族に率いられた軍隊の忠誠心は強く、政府の命令に従ってデモ隊の弾圧を続けたため、政権はしぶとく生き残ります(後述しますが、一部は反体制側に寝返りました)。

(3)内戦化:武器を持ち始める市民

抗議運動が拡大する一方で、政府が折れずに逮捕・攻撃を繰り返したため、市民側のダメージと怒りは膨張していきました。

これにより、市民の一部が武器を持ち始めることになります。

また、政府軍の一部も離反し、自由シリア軍(Free Syrian Army, FSA)として政権に牙を剥き始めました。

こうして、「非武装市民 vs 政府軍」から「反政府軍 vs 政府軍」へと構図が変化し、シリア国内の情勢は武力を用いた内戦へと様変わりします。

(4)地域内拡大:中東諸国の介入

反政府軍は勢いを増し、2012年1月には首都近郊のザバダーニーを占領するなどします。

反政府軍の勢いに対し、政府は空爆などの無差別攻撃手段をもって対抗しますが、これによって非武装の市民にも犠牲者が出ることになりました。

さらに、シリア国内での戦闘の激化に加えて、紛争は外にも広がり始めます。

比較的早い段階(2013年ごろまでに)で内戦に関与した主要な国(勢力)としては、

反体制側を支持:トルコ🇹🇷、サウジアラビア🇸🇦、カタール🇶🇦

体制側を支持:イラン🇮🇷、ヒズボラ(レバノンに拠点を置く政治・軍事組織)

などがあります(Lucas, 2016, p.13)。

こうして、政府・反政府両方の戦力が強化され、決着の見込みは薄くなっていきました。

(5)地域外拡大:政府の化学兵器使用をきっかけに

反体制勢力は勢いを増し、首都ダマスカスこそ政府の管轄下にあったものの、ダマスカス郊外都市などを含め、多くのエリアが反体制軍に占領されるようになりました。

反政府軍の猛攻を退けるため、政府は2013年8月21日のグータ化学攻撃を実行します。

ダマスカス近郊の、反政府軍が占拠していた2都市(東グータと西グータ)に対し、政府軍がサリンを搭載したミサイルを打ち込みます。多くの非武装市民を含む1400人の犠牲者が出ました(Lucas, 2016, p.13)。

この事件を受けて、人道的介入(市民を守るためにアサド政権を攻撃すること)を主張するアメリカ・西欧と、アサド政権に肩入れするロシア・中国などの間の摩擦が起こり、紛争はますます国際的に拡大していくことになります。

おわりに

今回は、シリア内戦発生から最初の3年の経緯をまとめました。

今回紹介したのは最初の3年であり、これ以降も犠牲者の数は膨らんでいくことになります。そして、2018年10月現在、内戦はまだ終わっていません。

政府軍と反政府軍の力が拮抗しているために、勝敗がつかず、また和平の試みも、少なくとも2016年までに18回失敗しています(Musarurwa, Kaye, 2016, pp.34)。

これを知ったところで我々に何ができるというわけではありませんが、少なくとも知っておくことには意味があると思います。気になった方は、現在の状況なども調べてみましょう。


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参考文献

Lucas, S. (2016). A Beginner’s Guide to Syria’s Civil War. Political Insight, 7(1), 12–15. https://doi.org/10.1177/2041905816637453

Musarurwa, H. J., Kaye, S. B., & Campus, B. C. M. S. (2016). Unpacking the Syrian Crisis: A Literature Review. Information Management and Business Review, 8(6), 32-38. https://www.researchgate.net/publication/310515530_Unpacking_the_Syrian_Crisis_A_Literature_Review


※アイキャッチ画像は Pixabay/OpenClipart-Vectors / 27434 images (Public domain)

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