【書評】瀬谷ルミ子『職業は武装解除』

ちぐはぐアクティブ・ラーナーの「凡さんす」(@academicocktail)です!

瀬谷ルミ子@seyarumi)さんをご存知ですか?

認定NPO法人 日本紛争予防センター(JCCP)の理事長として、中東やアフリカの武装解除に取り組んでいる方です。

国際協力界隈に興味のある方であれば、名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。

本日は、彼女の著書『職業は武装解除』を紹介します!

瀬谷ルミ子さんとは?何をしている人?

まず、簡単に著者の紹介を行います。

中央大学卒後、英ブラッドフォード大学紛争解決学修士課程終了。ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどで国連PKO、外務省、NGOの職員として勤務。専門は紛争後の復興、平和構築、治安改善(SSR)、兵士の武装解除・動員解除・社会再統合(DDR)など。2011年、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」、「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」に選ばれた。

出典:瀬谷ルミ子理事長の活動 | 認定NPO法人 日本紛争予防センター(JCCP),

2018年11月2日最終閲覧

24歳の時にシエラレオネで国連ボランティアを行い、以降紛争解決の現場に関わりつづけています。

ここまで聞いても、何をしている方なのか、いまいちイメージが湧かないかもしれません。

簡単にいうと何をしている人なのか?

彼女の専門である武装解除・動員解除・社会再統合(DDR)は、大雑把にいうと、

・紛争に関わっていた人たちに武器を置いてもらい(武装解除

・武装組織を解散してもらって(動員解除

・元兵士たちが平和な世界で生きていけるようにサポートする(社会再統合

一連の仕事を指します(参考:第35回 DDR(1):武装解除 – 内閣府国際平和協力本部事務局(PKO))。

紛争地域における暴力をストップした上で、その再発を防ぐまでの仕事ですね。

本の中では、瀬谷さんがこの一連の作業にどのように取り組んでいるのかが書かれています。

それでは、続いて著書『職業は武装解除』の紹介に移りましょう〜♪

本の内容は?:著者の生い立ち・現場での仕事の様子

内容は、ほとんど瀬谷さんの自伝に近いです。

生い立ちから、武装解除を仕事にすることを選んでからそれを実現するまで、そして実際の紛争地帯での仕事の様子などが書かれています。

たった200ページの本ですが、元兵士や紛争遺族の方々と交わした言葉や、危ない場面を乗り切ったエピソードなど、多くの内容が凝縮されており、非常に濃い一冊です。

本の特長は?:距離感が近い!

この本の特長は、何と言っても「距離感が近い」ことです。

「アフリカでの紛争解決」という、一般的に「遠い」と感じられがちなテーマでありながら、臨場感を持って読むことができます。

ルワンダ、シエラレオネ、アフガニスタン、多くの国での紛争解決の過程が描かれますが、瞬間瞬間で瀬谷さんが感じたことがリアルに表現されており、まるでドキュメンタリー映画を見ているように、心を揺さぶられつつ、各国で何が起きたのかが頭にインプットされるのです。

多くの人が言ったことのない国で起きたことについての話が描かれますが、そうとは思えない臨場感があります。

また、ユーモアが多く含まれている点も、距離感の近さに大きく貢献しています。紛争という暗いテーマを扱っている本ではありますが、瀬谷さんの心情を吐露している地の文が非常にユーモラスであり、所々思わず「ふふっ」となってしまうほどです。

例えば、パキスタン軍に痴漢を働かれた時の話。

……私が何もしなければ、絶対犯人は同じことをするだろう、そう思った。

……たかが触られたくらいで、という人もいるかもしれない。

……私がセクシーすぎたのかもしれない(すみません、一度言ってみたかったんです。すみません)。

考えた結果、パキスタン軍に直接報告に行くことにした。

出典:瀬谷ルミ子『職業は武装解除』朝日新聞出版, 2012年, p.177

深刻な問題について語りながも、ときどきパンチを入れてきます(笑)

このように、仕事の様子が喜怒哀楽たっぷりに表現されているため、印象的で、記憶に残りやすい文章になっています。

こんな人にオススメ!

(1)国際協力に何となく興味がある

貧困や暴力など、国際的な問題に取り組むことに興味がある方は、一度読んでおいて損はないと思います。

結局のところ、体験から学べる以上のものを得ることはできませんが、それでも、長い間現場で戦ってきた方の言葉に触れるのは、大きな学びになるはずです。

(2)紛争地帯や途上国で働く人の考え方に触れたい

あるいは、外国の問題に取り組む人の気持ちがよくわからず、そうした価値観を少しでも知ってみたいという方にもオススメです。

この本には、ごく普通の日本人家庭に生まれた瀬谷さんが、なぜ武装解除を職業にすることをを志し、どのようにそれを実現して、日々何を感じているのかが丁寧に表現されています。

本書を読むことで、いわゆる国際協力に取り組む方々が、どういう思いをもって仕事に向き合っているのかが垣間見えるはずです。

(3)自己肯定感が低く、悩んでいる

最後に、国際協力に関係なく、「自己肯定感の低さが悩みである」という方は、一度手にとってみることをオススメします。

高校三年生のときに、ルワンダの内戦の様子が撮影された写真を見て、なすすべもなく命を落として行く人々の様子と自分を比べ、自分には「自由に行動する権利」があるということに気がついた。人生を自分の手で変えられる、その権利は、世界の誰もが持っているのではない。

どうせだったら、できることから、少しずつでもやってみよう。

出典:同上, p.4

瀬谷さんと紛争解決を結びつけたのは、新聞に掲載されていた一枚の写真であり、彼女だけの特殊な体験があったわけではありません。

ですので、彼女の半生を追うことで、(言い方は悪いですが)平凡な一人の人間が大きな仕事に取り組んでいく背中を追うことができます。

「とりえがない」

「自分には何もできない」

「周囲の人に比べて自分はダメだ」

そういった悩みを持っている方は、ぜひぜひ読んでみてください!

おわりに

今回は、瀬谷ルミ子さんの著書『職業は武装解除』を紹介させていただきました!

将来NGOや国際機関で働くことを目指している方はもちろん、そうでない方にもオススメできる本です!

さっき(2018年11月2日)amazonで確認したら、中古品が56円で売ってました(笑)よかったら、今のうちにどうぞ!!


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※アイキャッチ画像は管理人撮影

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