過去・現在・未来とは何か?シェリング哲学の出した答え

突然ですが、「時間」とはなんでしょうか?あるいは、「過去」「現在」「未来」とはなんでしょうか?

普段使っている言葉であるにもかかわらず、時間の概念に対して納得する定義を与えるのは難しいですよね。

今回は、「過去」「現在」「未来」の本質について、ドイツ観念論哲学者フリードリヒ・シェリングが与えた答えを紹介したいと思います!


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シェリングの時間論:過去を「切断」する「決断」

まずは、結論を読んでいただきましょう。

過去と未来は、自分が「決断」することによって生み出される。

これが、シェリングの時間論です(話を簡単にするためにいろいろと省略しています)。

もう少し具体化しましょう。

過去とは一切関係ない「決断」を「今」することによって、過去は過去になり、未来も未来になる。
少し難しくなってきたと思うので、たとえ話を交えて解説します。

過去は「決断」により生み出される

あなたは、これまで10人の人に片思いをして告白し、その全員に振られた経験を持つ人だと仮定してください(笑)

11人目の好きな人ができたあなたは、デートを重ね、今日告白するか否かを思案しています。

ここで、過去の経験を思い出して意思決定を行い、「これまで10連敗だし、また振られるのではないか?振られたら悲しいしやめておこう」と考えて告白を取りやめる可能性がありますよね?これは、過去が「過ぎ去っていない」状態です。なぜならば、自分の意思決定の根拠の中で過去の経験が生き残っているからです。過去が「もうない」状態にはなっていないことになります。

では、「10回振られた」という過去を「過ぎ去った」ものにするためには、どうすればいいのか?「決断する」(独:entscheiden)ことによって過去を「切断する」(独:scheiden)というのが、シェリング流の解決策です。

ここでいう「決断」とは、なるべく簡単な言葉で言えば「一切の過去の経験に基づかない意思決定」のことを言います。このような思い切りによって、過去と切断した「今」の自分を作り出せるし、また「過去」がちゃんと「過去」になるということです。

未来も「決断」により生み出される

さて、ここまで「過去」の話をしてきましたが、未来の方も「決断」によって生み出されます。両者は本質的には同じ話です。

例えば、もし「10回振られた」という過去に基づいて必然的に「告白をしない」という意思決定が行われるのであれば、「告白をせずにデートを終える」という未来が過去によって決定されることになります。したがって、「決断」による過去の「切断」がなければ、未来「もともと決まっているもの」になる、つまり「未だ来ていない」ものではなくなってしまうのです。

こうした意味から、過去を「切断」する「決断」によってはじめて、「未来」が「未だ来ていない」ものになるということがいえます。

まとめ

以上が、シェリングの時間論の概要でした。

もう一度まとめると、

「決断」を通して過去を「切断」することで、過去は過去となり、未来は未来となる。
ということになります。ほんとうは、なぜシェリングがこのような問題について考える必要が出て来たのか、哲学的な文脈に位置付けて理解した方が面白いのですが、長くなってしまうので今回はこの程度にとどめておきます。

おまけ:シェリングの人物像

最後に、シェリングの人物像について簡単に解説しておきます。

シェリングは18~19世紀を生きた哲学者であり、ドイツ観念論と呼ばれる一派に分類されます。同じドイツ観念論に属するフィヒテは大学時代の指導教員、ヘーゲルは学友でした(のちに、論敵になります)。

シェリングの特徴は何と言っても早熟なことで、あまりにも優秀なために通常よりも3年早く15歳で大学の入学を認められ、17歳で学位論文を書いています。大学を卒業してからは、イェーナ大学、ベルリン大学など数々の大学で講義を行い、当時トップクラスの哲学者として活躍しました。

シェリングは多くの著作を残していますが、おそらく日本でもっとも有名なのは『人間的自由の本質』という本です。ここでは、キリスト教的な世界観に基づきながら、「完全な存在であるはずの神によって作られた人間が、なぜ悪を行うことができるのか」という問題について考察しています。

おわりに

今回は、シェリングの時間論について解説しました!「決断」によって過去が生まれるというシェリングの理論は、ちょっと極端に聞こえるところもありますが、面白い考え方だと思いませんか?

ところで、フィヒテ、シェリング、ヘーゲルらドイツ観念論者(およびフィヒテを指導したカント)は、互いに交流を持ち、ときには論争を行いながら哲学を発展させていきました。この界隈にはいろいろと面白いエピソードがあるので、今後の記事で紹介していきたいと思います!

参考文献

・村岡晋一著『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』講談社選書メチエ, 2012年(https://amzn.to/2LS5UDg)


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アイキャッチ画像は nile/pixabay  CC 1.0

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