ポルノを見ないことは「不健全」?ポルノの弊害について知ってみる

こんにちは!

「凡さんす」(@academicocktail)と申します。

ジェンダーや哲学について発信しています。

今回は、主にこういった悩みを持つ方、とくに中高生くらいの男性に向けた記事となります。

この記事を読んでほしい人↓ 

私は男性だけどポルノに興味がなく、男同士の会話についていけずに困ることが多い。ポルノを見ない私は男として不完全な生き物なのかな。

多くの男性にとって公然の秘密である、飽くなきポルノへの欲望。

インターネットとスマートフォンの普及によっていつでもどこでも(?)ポルノを堪能できるようになった現代、アダルトビデオ業界は莫大な市場となっています。

代表的なアダルトサイトの一つPornHubは、2013年だけで150億近くの視聴数を獲得し、年間を通して毎時間平均168万人に閲覧されています。同サイトは、同年のイギリスの6歳から14歳の子供の閲覧ランキングで35位でした。

(出典:(著)フィリップ・ジンバルドー、ニキータ・クーロン (訳)高月園子『男子劣化社会』晶文社, 2017年, pp.52-53)

このように、世の男性の消費行動を語る上で避けて通れない巨大な市場、ポルノ。

しかし一方で、中には「ポルノをそこまで好んで見ない」という男性も一定数いらっしゃるはずです。

そして、そのような男性にとって、周囲の大多数と同じ趣味嗜好を持っていないことは、大きな悩みの種となっているのではないでしょうか。

この記事では、主に「ポルノを見ない」ことで劣等感を持つ男性に向けてメッセージを書きました。

少し長いですが、どうかお付き合いください。

※以下では、「男性」という言葉でシスヘテロ男性(身体と性自認が男性であり、性的対象が女性であるヒトのこと)を指します。ゲイやトランスジェンダーの方については議論を網羅できていない部分があると思いますので、あらかじめご了承くださいませ。

体験:ポルノを見ないことによる疎外感

まず、ポルノを(あまり)見ない男性が持つ悩みについて、私自身の体験談を共有しておきたいと思います。

私は、全くポルノを見ないわけではありませんが、平均的な男性と比較すればおそらくそこまで見ない方なのではないかと思います。

今でこそ、そのことについて悩むことも少なくなりましたが、中高生の時は割とコンプレックスの種でした。

ポルノをあまり見ないことで私が抱いていた大きな悩みは、「疎外感」です。

例えば、学校では次のような会話をすることがよくありました。

友人

お前、好きなAV女優は誰??

凡さんす

(全然わかんねえ、どうしよう…)えーっと…◯◯さんかな(タレントとして名前知ってる人の名前を答える)

友人

王道!! あの人の◯◯やばいよな〜!!

凡さんす

うんうん(顔と名前一致してないけどな)。あ、そういえば今日の体育ってグラウンドだっけ?(適当に話題変えよっと…)

2,3人で話しているときはこのように適当に話題を変えます。

大人数で話しているときはそうもいかないので、話を振られないように愛想笑いだけをして存在感を消します(^^;;

「中高生」と書きましたが、男性のノリって年齢に比例してそこまで変わらない傾向にあるので、社会人となった今でもこのような場面は山ほどありますね。

堂々と「AV見ないから全然わからん!」と言えればいいのですが、10代の時は特に「ポルノに興味を持たないと、「つまんないやつ」と思われてグループの輪から仲間外れにされるのではないか」という恐怖を抱えていたため、適当にごまかすのがいっぱいいっぱいでした。

そして、「ポルノに興味を示さない自分は発達に欠陥があるのではないか」と悩むことも多かったです。

20代になってからも、男性だけの飲みの席などでは「男は結局下ネタでわかりあえるよな〜」という空気が全く疑われることなく流れるので、どうやってやり過ごすかを考えるので忙しいことが多々あります。

(もっとも、いつも嫌なわけではなく、その日の気分によっては話せたりするので一概には言えないのですが)

「ポルノ見ない系男子」の悩みは割と深刻(なはず)

ここまで、ポルノを見ない男性が抱える感情について、筆者の個人的な体験から綴ってきました。

これを読んだ男性の中には共感した方も意外と多かったのではないかと思います。

私自身は今ではそこまで悩まなくなりましたが、この記事を読んでくださっている方、とくに10代の方などの場合、ポルノを見ないことにより、

「自分は男らしくないのではないか」

「自分は不健康なのではないか」

「ポルノを見て興奮できない自分は性癖に問題があるのではないか」

などと悩んでいる方も多いのではないかと思います。

もちろん、本当はこのようなことに悩む必要はありません。趣味嗜好は人それぞれですからね。

ただ、人の感情というのは理屈ではどうにもならないもので、悩みを振り払うのはなかなか難しいと思います。

とくに、思春期には周囲の人間関係から受ける刺激にかなり敏感であることが多いです。日々の友達付き合いで覚える疎外感との付き合いは、そう簡単には克服できるものではないでしょう。

ポルノの有害性について知ってみる

では、このような悩みから解放されるためにはどうすればいいか。

1つの方法は、ポルノの弊害を勉強することです。

あまり知られてはいませんが、ポルノには視聴者に及ぼすたくさんの悪影響があります。

これらについて勉強することで、「ポルノを見ないことは実は良いことなのかもしれない」と自信を持てるようになります。

そこで、この記事の残りでも、簡単にですがポルノの弊害について記しておきます。

スタンフォード大学心理学名誉教授フィリップ・ジンバルドー氏および彼のアシスタントであるニキータ・クーロン氏の共著『男子劣化社会』には、ポルノが男性にもたらす弊害が様々に挙げられていました。

ここではそのうち次の3つについて説明します。

《ポルノの弊害》

・日常生活におけるトラブル

・学業へのダメージ

・現実の異性関係における弊害

ジンバルドー、クーロン『男子劣化社会』pp.51-57より要約

それぞれについて要点だけ書いていきます。

日常生活におけるトラブル

ポルノは、しばしば日常の社会生活におけるミスやトラブルの原因となります。

2013年のイギリスでの調査によると、ポルノの視聴時間が週に1時間以内のライトユーザーですら、その3分の1がポルノに夢中になるがあまり大事な締め切りや面会の約束に遅れたり逃したりした経験があるとのことです(『男子劣化社会』p.53)。

なお、このようにポルノを見てマスターべーションを長々とすることでやらなきゃならないことを先延ばししてしまう行為は、「プロクラスターベーション」(procrastinate = 先延ばし + masturbation = 自慰行為)と呼ばれます。

学業へのダメージ

上記のようなポルノによる自律の妨害は、学業にも弊害を及ぼします。

2008年、ドイツの研究者が、ポルノを見ることが大学生の学業成績を妨げることを発見しています。ポルノの刺激を受けた被験者は宿題に取り組むモチベーションが低下し、授業を欠席したり宿題を提出できなかったりなどの問題行動が増加が見られました。(Porn Kills Grades: Research Shows XXX Content’s Effect On Academics)。

このようにポルノの過度な視聴が学業成績におよぼすダメージは、2014年のベルギーの実験などでも確認されています(同上、p.54)。

現実の異性関係における弊害

ポルノを過度に見ることで、現実での異性関係やセックスにも大きな悪影響を及ぼします。

例えば、長時間ポルノを見続けることで、男性は自分のガールフレンドをただの肉体、単なる肉欲の対象として「モノ扱い」し始めます。

何のストーリー性もなくただ肉体と肉体がぶつかりあいこすりあうだけのポルノを見続けた視聴者は、現実のセックスの持つ人間的・精神的な繋がりを認識できなくなるのです。

また、ポルノによる強すぎる刺激を受け続けた男性は、リアルな女性の体では十分に興奮することができなくなります

イースト・ロンドン大学が行なったオンライン調査によれば、16歳から20歳の男子の5人に1人が「実際のセックスでも刺激剤としてポルノの世話になっている」とのことです(同上、p.55)。

さらに、ポルノは男性の性的な劣等感を助長するという影響もあります。

ポルノの男優はたいていルックスが良く、いい体をしていて、延々と精力的な性行為を続けられる無限のスタミナの持ち主だ。彼らはいつでも即座に勃起し、射精直後さえも屹立し続ける巨大なペニスを見せびらかす。そんな動画を次から次へと見ることが、若い男性にいい影響を与えるはずがない。(同上、p.56)

……若い男性はポルノの動画からセックスについて学べるだろうか? はい、少しは。だが一方でポルノから受け取るメッセージにより、彼らは自信を失いかねない。なぜなら、ポルノの画面で行われていることが普通で、それが唯一の正しいやり方で、相手との適切な関わり方だと思い込むからだ。最悪の場合、ペニスの大きさはただ重要なだけでなく、何よりも重要だと思いかねない。(同上、p.140)

ポルノは「絶対悪」ではない

以上、ポルノの過度な視聴がもたらす弊害について簡単にお伝えしてきました。

さて、このように多くの悪影響を及ぼすポルノは、全面的に規制されるべきでしょうか?

……私はそうは思いません。

「デメリットがあるから」「使い方を間違えると危険だから」という理由で何かを規制することは、割とナンセンスです。「交通事故があるから車禁止」にしたいかというと私は疑問ですね。

世の中には、酒やタバコなどのように、「デメリットの方が大きいけれども、大人が用量用法を守って遊ぶ分には許容されている娯楽」がたくさんあります。

これらのいってしまえば質の低い娯楽がすべて規制された世の中も、またつまらないものでしょう。

ですので、私はポルノも全面的に禁止されるべきだとは思いません。

※ちなみに、ネット小説家枕目さんの短編小説『フォルカスの倫理的な死』で、「弊害のあるものや反倫理的なものがすべて規制された社会」の風刺が書かれています。興味のある方はリンク先を覗いてみてください。

ポルノの弊害はもっと知られるべき

しかし一方で、私はポルノの弊害はもっと知られるべきだと思います。

上に挙げたようなポルノの弊害が知らされないままでは、考えなしの消費が続き、視聴者そして社会全体への悪影響はますます大きくなります。

お酒やタバコにも、嗜好品として人生を豊かにする側面はありますが、だからといって何の社会的警告もなく野放しにされていたら、とんでもない健康被害が蔓延していたに違いありません(もっとも、いまでも健康被害は甚大ですが…)。

・摂取のしすぎでは〜〜のような健康リスクがあります。

・お酒のせいで人生が台無しになった〜〜のような例があります。

・一日の摂取量目安は〜〜です。

こういったことがしっかりと啓蒙された上だからこそ、お酒やタバコも嗜好品として許されるのだと私は考えています。

ポルノも同じで、「どれくらい見ていいのか」「見すぎるとどういったことが起こるのか」などということがしっかりと啓蒙されるべきです。

「男ならポルノを見るべし」という思い込みからは解放されよう

今回私が一番お伝えしたかったのは、次のメッセージです。

「男ならポルノを見るべし」という思い込みからは解放されよう。

前半でも書きましたが、ポルノに関心の薄い男性のみなさんは、コンプレックスや疎外感を味わうことが少なくないのではないでしょうか。

このような心理状態に陥ってしまう原因としては、

①周囲の男性のほとんどがポルノを好きである

というのがもちろんあると思いますが、一方で、

②ポルノの弊害が世の中に周知されていない

ために、「健全な男性ならポルノを見るはずである」という空気が無批判に流れていることもあると思います。

実際には、この記事の後半でお伝えしました通り、ポルノにはたくさんの危険が潜んでいます。

こうした事実を知ることによって、「ポルノを見ないのは別に悪いことではない(むしろ健全)」だと思えるのではないでしょうか。

ですので、ポルノを見ないことで疎外感を感じている方は、ポルノの弊害をもっと勉強してみることで、胸を張って生きられるようになるのではないかと考えています〜!

まとめ

今回は、ポルノが視聴者にもたらす悪影響を解説し、「ポルノを見ないのは必ずしも悪いことではない」ということをお伝えしました!

長くなったので、最後にもう一度私の主張をまとめますね。

・ポルノは見すぎると危険なものである。

・危険性を認識した上で、見るのも見ないのも自由。

・「男ならポルノを見るべし」という思い込みからは解放されよう。

ポルノを見る人も見ない人も、自分の趣味嗜好に自信を持てるようになってほしいなと思います。

この記事が少しでもその助けになれば幸いです♪


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