収容所で見つけた最後の「自由」:『夜と霧』に記された心理学者の発見

こんにちは!今日は心理学者ビクトール・フランクルの『夜と霧』を読んでいきます。

この本は、第二次世界大戦中、ナチスの収容所に囚われた著者が、実際に収容所で自分たちにどんな心境の変化があったのかを細かく綴ったものです。

簡単に本の紹介をしたのち、私が本文について疑問に思うところに触れたいと思います。

※2018年2月16日に公開した記事ですが、同年3月28日に一部修正しました。

教科書に見るフランクル

まずはいつも通り、高校の教科書でフランクルがどのように書かれているのかを見ることにしました。以下、引用です。

「自分の人生には、もう何も期待できない」という人に、これからの人生に何かが待っていると期待させることができれば、死を思いとどまらせることができる。それは、「待っている人」でも「待っている仕事」でもよい。それらへの責任を意識した時、人間は生命を放棄することはできない。自分の存在が、なんのためにあるかを知れば、どのようなことが起こっても耐えることができる、とフランクルはいう。

『高等学校 新倫理』清水書院、pp.20

例えば、「自分がここで死んだら家族が困る!」とか、「まだ◯◯をやりとげるまでは死ねない!」と思える人は、どんなに危機的状況にあっても生き延びようとしやすい、ということです。

むろんこれは、「死ぬ」という極限状態に限られたことではないと思います。例えば受験勉強にしても、大学に行ったらこれをしたい!という明確な目的がある人は、辛くなった時にも粘りやすいでしょう。そう言った意味でも、進路を決める際には、将来何をしたいかを深く深く考えてからがいいのでしょうね!

『夜と霧』を読んでみた

実際『夜と霧』を読んでみたのですが、本当に良かったです!なんか、筆者は本当に極限状態にいるはずなのに、そこで看守の仕打ちやいつ訪れてもおかしくない死に怯えることなく、閉じ込められた自分の精神状態を心理学者としてあまりにも冷静に観察しているんですよね笑「あー、こんな状況ではこんな感じの気持ちになるのか、ほう~」みたいなテンションで笑

さて、いろいろと学びの多い本だったのですが、とくに印象に残っているのは次の一節です。おそらくここで引用するまでもなく結構有名な箇所なのですが。

人は強制収容所に人間をぶちこんで全てを奪うことができるが、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない。

出典:ヴィクトール・E・フランクル著/池田香代子訳『夜と霧』

みすず書房、2002年、pp.110~111

フランクルたちは、強制収容所で持ち物を全て没収され、裸にされ、食べ物や睡眠もろくに与えられず、罵倒されたり、暴力を振るわれたりしていました。

確かに、やりたいことをやったり食べたいものを食べたり、苦痛から解放される自由はないのですが、しかし、最後に一つ、そうした状況をどう捉えるか。すなわち、支配に精神的に屈して自分を捨ててしまうか、あるいは精神的には毅然として自我を保つか、といった自分の精神状態を選択する自由だけは残されているということです。

どんなに支配されようとも奪われないこの最後の自由に気づいたフランクルは、気が触れたり、途中で衰弱してしまうことなく、終戦まで収容所を生き延びることができたのでした。

本当に「自由」はあるのか

さて、本書は学術論文ではないので反論するのもどうかとは思うのですが、それでも当ブログの性格上、なるべく単なる本の紹介では終わりたくないので、疑問を投げかけておきます。

どんなに物理的に優位に立った支配者ですら精神を支配しえない、という話はわかるのですが、果たして、それは「自由」と言えるのでしょうか?結局、その人がどのような精神状態を選択できるかは、その人のそれまでの経験に依存しているのではないかと思うのです。

現にフランクルは心理学者だったので、自分の精神を冷静に観察する、という発想がありました。しかし、全く違った環境でそれまで生活してきた人の中には、もはや気が触れる以外の選択肢を取りえない人もいるのではないかと思うのですよね。

何が言いたいかというと、人間が極限状態において何を選択するかは、他者にも、その人自身のその時の選択でもなく、その人の今までの経験に依存しているのではないかと。フランクルが収容所を生き延びられるのかどうかは、収容所に入れられる前の彼の人生によってすでに決定されていたのではないか、ということです。

おわりに

この本は今まで読んできた西洋の古典作品の中でもダントツで読みやすかったです。しかも、日本語版は訳者あとがき含めて170ページ足らずしかないので、中学生以上くらいの方であれば一度手にとって読んでみることをお勧めします。もしかしたら小学生でも読めるかも(読書感想文にもいいと思いますよ)。

興味がある方はこちらからご覧下さい!!↓


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