#KuToo の記事について、お詫び・訂正および主張の補足

こんにちは。

「凡さんす」(@academicocktail)です。

2019年3月15日に公開しました記事【#KuToo】パンプス強制は女性差別です【男性を責めてはいない】について、一部不適切な箇所がありましたため、該当部分を削除しました。

以下で、経緯の説明および関係者への謝罪を行います。

削除部分について、お詫びと訂正

元記事の方では、「#KuToo を女性差別と位置づけることに反対する意見」として、次のツイートを紹介しておりました。

この部分のみを取り上げて引用し、「パンプス強制を女性差別と認めない意見」として紹介したことに対し、ツイート主である隊長(@mtmseaside2 )氏の方から、次のようなコメントをいただきました。

実は、隊長氏のツイートには、次のようにななみんさんが引用で会話を続けており、

このツイートに対するリプライで、隊長氏の主張が本格的に展開されていました。

しかし、私がこちらの追加の会話の存在に気づいておらず、「フェミニズムとファッションの歴史を勉強すれば…」のツイートで隊長氏の主張が終了していると勘違いしたために、元のような引用を行ってしまったという次第です。

引用させていただいた2ツイートは、隊長氏の主張の全体像(後述)のごく一部を切り取ったものであり、当初の引用は、氏の発言の意図を読者に誤解させかねない行為でありました。

主張の芯を捉えず、安易に「#KuTooを女性差別問題として扱うことに反対している人」として記事の材料に用いてしまったことについて、隊長氏にお詫び申し上げます。

今後、第三者の言説をブログで引用させていただく場合には、不適切な切り取りによって読者に誤解の可能性を与えることのないよう、細心の注意を払う所存です。

——-

以上をもって、記事修正の経緯の説明および謝罪とさせていただきます。

では、ここから続けて、

(1)隊長氏の主張の要約

(2)それを踏まえた上での私の意見

を述べていきます。

隊長氏の主張

ご本人からのDMにて、過去ツイートなども貼りつつ説明いただいたところ、#KuTooに対する氏の意見は、おおむね次の3点に要約されるとのことです。

①パンプス強制への反対運動自体には反対していない。

②企業の中でなら性差別的だと運動するのもありだろう。

③ただし、世間に向ける運動なら「女性解放運動」として進めた方が受け入れられやすいだろう。

※参考:ファッションにおける「女性解放運動」の歴史を説明した資料として、隊長氏は次の記事を取り上げています。

→ ミニスカートをめぐる論争。ニュールックからフィービー・ファイロ、そしてエディ・スリマンまで。

以下で、こうした主張を踏まえた上での私の意見を述べさせていただきます。

私の主張

ここでは概ね以下の3点について述べます。

①(あらためて)パンプス強制は女性差別である。

②企業の就業規則のみならず、社会の風土も「差別」である。

②「解放」でも成り立つが、「差別」なら「差別」として押し出すべき。

※以下はあくまで私の考えであり、#KuToo発起人である石川さんの思想とは異なる部分がある可能性もあります。その点はあらかじめご了承ください。

①(あらためて)パンプス強制は女性差別です【平等権】

まず、あらためて確認にはなりますが、「パンプス着用強制は女性差別」と私は考えています(この点は、隊長氏への反論というより、元記事への補足です)。

元記事でも参照した女子差別撤廃条約とパンプス強制の関係について、もう少し厳密に検討します。

第一条 この条約の適用上,「女子に対する差別」とは,性に基づく区別,排除又は制限であつて,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

出典:女子差別撤廃条約全文 | 内閣府男女共同参画局

この条文に書いてある「女子に対する差別」の要件は、

・性に基づく区別,排除又は制限

・女性が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するもの

の2点に整理できます。

ここで、職場において「女性はパンプスを着用してください」と強制するのは、「性に基づく」「制限」です。

そして、パンプスを着用することによって、男性にはない健康被害が女性には出ているわけですよね。

であれば、「男性と同じように仕事をしようとしても女性だけが怪我をさせられる」ということで、男女の平等にかなっていません。

つまり、女性のみにパンプス着用を強制することは、性別に関わらず平等に扱われる基本的人権(平等権)を「行使することを害し」ている事態だといえます。

したがって、パンプスの強制は女性差別です。

②企業の就業規則のみならず、社会の風土も「差別」である

これは、隊長氏の「企業の中でなら性差別的だと運動するのもありだろう」に対する反論になりますが、私は企業の外でも「差別」として扱うことができると考えています。

社会全体に流れる「女子はパンプス」という空気も、十分平等権を「行使することを害し」ているからです。

影響力の強そうなところでいうと、たとえば大学の就職活動マニュアルも、「女子はパンプス」というメッセージを発信しています。

男女共に黒の皮靴とする。

(男性) 紐靴が一番正式。靴の先がとがっているものは避ける。

(女性) プレーンなパンプス。ヒールは、3〜5センチが望ましい。

出典:就職活動のマナー | 札幌大学・札幌女子短期大学部

【男性】

靴は黒を基本としシンプルな形でビジネスに適したものを選ぶ

【女性】

靴は黒を基本としヒールの高さは3〜5cm

出典:就職活動におけるマナーについて | 立命館大学キャリアセンター

就職活動のマナーと就業規則では厳密には異なりますが、就活のときからこんな風に書いてあったら、「女性はパンプスを着用するものなんだ」と思って受け入れてしまうのは、ごく自然なことではありませんでしょうか。

このように、企業の外でも「女性はパンプスを着用しましょう」という圧力があり、それによって、男女が平等に仕事を進める状態の実現が妨げられています。

したがって、企業の外の社会に対しても「差別をなくしましょう!」と訴えることが正当性を持つのです。

③「解放」でも成り立つが、「差別」なら「差別」として押し出すべき。

こちらは、隊長氏の「ただし、世間に向ける運動なら「女性解放運動」として進めた方が受け入れられやすいだろう」という主張への反論になります。

たしかに、隊長氏のいう通り「差別」という言葉を使わずに「女性解放運動」として位置付けたとしても、#KuTooは成り立ちます。

そして、氏の「世間に向ける運動なら「女性解放運動」として進めた方が受け入れられやすいだろう」という主張にも同意します。

おそらく、#KuTooが女性差別という言葉を使わずに「健康に悪いパンプスから女性を解放しましょう!」だったら、反対派はもっと少なかったはずです。

しかしながら、私は#KuTooを女性差別反対運動として進めるのが望ましいと考えています。

というのも、差別を差別として認識することが、性差別問題の根本的なの解決につながるからです。

主張を箇条書きすると、こんな感じになります↓

パンプス強制は性差別という大きな問題の一部にすぎず、パンプス強制に限らず性差別のない状態を実現するべき。

→性差別をなくすためには、性差別の存在が認識される必要がある。

→性差別の存在が認識されるには、差別の事例については「差別」とはっきり表現するのが望ましい。

→パンプス強制は差別の事例だから、「差別」とはっきり表現するのが望ましい。

以下で補足説明しますね。

◯パンプス強制は性差別という大きな問題の一部にすぎず、パンプス強制に限らず性差別のない状態を実現するべき。

私は、差別の本体は、人の意識として社会に内在していると考えています。

パンプス強制は、あくまで差別が具体的に表面化した事例の一つにすぎません(「氷山の一角」という理解でも結構)。

本質的に抗うべきはパンプス強制という個別の事例ではなく、差別的な意識そのものです。

よって、#KuTooも、大元の「差別」を叩くのに最適な形で行われるのが望ましいと考えています。

◯性差別をなくすためには、性差別の存在が認識される必要がある。

何か問題を解決するためには、「こういう問題がある」ということがまず認識される必要がありますよね。

たとえば、「街が汚い」という問題が解決されるためには、まず「街が汚い」ということが認識される必要があります。

同じように、差別を解決しようと思ったら、まずは「差別があること」が人々に認識される必要があるのです。

◯性差別の存在が認識されるには、差別の事例については「差別」とはっきり表現するのが望ましい。

性差別が認識されるには、差別が具現化したときに「これは差別だ」と主張するのが効果的でしょう。

差別問題を差別として取り扱わなければ、問題が見えなくなってしまいます。

パンプスだけが解決されても、また次の差別問題が生じてくるはずです。

こうなってはキリがないので、「角を立てる」「反発を呼ぶ」というコストを一時的に払ってでも、「これは差別だ」とはっきり主張していくことが、長期的に見れば適切な戦略なのです。

まとめ

ここまでで、私の主張はおしまいです。

もう一度、全体を簡単にまとめると、

・パンプス強制は、国連の条約を基準にすれば差別である。

・企業の就業規則のみならず、社会の風土も「差別」として扱いうる。

・#KuToo を「差別反対運動」と表現することも「解放運動」と表現することもどちらも可能であるが、「差別反対運動」とするほうが望ましい。

・なぜならば、差別をはっきり「差別」と口に出すことで、差別問題への認識を高め、パンプスのみならず根本的な(我々の意識レベルでの)差別問題の解消に近づくから。

以上です。

Twitter上で議論するのは嫌いじゃないので、異論のある方はぜひ @academicocktail まで!(レスの速度はまちまちです)

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