【ハラスメントと恋愛】トライ&エラー「される側」から考える

こんにちは! 「凡さんす」(@academicocktail)と申します。

ジェンダーや哲学について日々勉強・発信しています。

今回は、性差別問題に関する議論として、こういった問題について考えていきます。

この記事で考える問題↓ 

恋愛のテクニックとして、「好きな人には積極的にアプローチしろ」と言われるけど、これは正しいのかな?

恋愛に関してのアドバイスでよく、「理想の相手を手に入れるためには自分から積極的に”攻める”ことが大事」などと言われます。

特に男性は、「怖がらずにどんどんアタックしろ」と推奨されることが多いです。   今回は、この意見に「待った」をかけたいと思います。

はじめに断っておきますと、この記事で解説するのは恋愛のテクニックではありません。 「積極的にアプローチするのは間違いで、そのかわり〜〜するとモテる」というアドバイスを提示することはできません。

ですが、意中の相手と交際・セックスをするために行動している全ての人に持っておいていただきたい視点ですので、一読いただければ嬉しいです。

3分ほどで読み終わる記事ですので、どうかお付き合いください。

意中の相手へのアプローチは加害になる

はじめに、この記事でお伝えしたいことを端的に書きますと、

意中の相手へのアプローチは、その人への加害になる可能性が高い。

ということです。 「加害」というとびっくりされるかもしれませんが、もう少しわかりやすくいうと、セクシュアルハラスメント(セクハラ)ですね。

もっとも、多くの人は好きな相手にアプローチするたびに、「自分は加害している」なんて意識はしていないと思います。

ただ、相手の気持ちを考えなかったり、あまりにもしつこいアプローチがハラスメントになることについては、多くの人が直感的・経験的に知っていることでしょう。

というわけで、特に目新しい話ではないかもしれませんが、以下ではもう少し掘り下げていきます。

関係の浅い他人からのアプローチは不快「告白ハラスメント」

恋愛におけるアプローチを、ざっくりと

・関係の浅い他人からのアプローチ

・関係の深い他人からのアプローチ

の2つに分けてみましょう。

まずは、前者「関係の浅い他人からのアプローチ」の加害性について解説します。

こちらについては、数年前に生まれた「告白ハラスメント」というワードを参照すればわかりやすいでしょう。

ダイヤモンド・オンラインに掲載された告白ハラスメントの定義を要約すると、次のようになります。

告白ハラスメント:きちんと順序を踏んだ段取り(関係づくり)を行わず、自分の想いを相手にブチまけるだけの告白
同記事には、このような告白が女性に恐怖感や不快感を与えることについて述べられています。

……男性は女性より体が大きい場合が多いので、大人の“ガチ告白”は女性に精神的な負担だけではなく、物理的な恐怖も与える。いずれにしても、大人の告白は「念押し」が基本であり、そこまでの関係に達していないで行う告白は、時に暴力として受け取られる。そのことを頭の隅に置いて恋愛する、大人の心がけが必要になりそうだ。

勝算のない告白は自己満足に過ぎず、相手にとって迷惑行為そのものなのである。

出典:男からの愛の告白はセクハラなのか | あなたをモヤモヤさせるB級新常識 | ダイヤモンド・オンライン

この「告ハラ」概念に対する反応は以下の通り↓

……インターネットなどへの書き込みを見ると、「告ハラ」に共鳴する女性は存在する。 「振るのもひと仕事。なんでそんな労力をかけなきゃいけないの?」 「そういう目で見られていたなんて、ちょっと気持ち悪い」

出典:告白もハラスメント? 「振るのもひと仕事」女性からの衝撃の本音

「そういうつもりがないのに、そういう目でみられていたら、正直気持ち悪い」

出典:告白ハラスメント「告ハラ」、共感できる人は○%

もちろん、「言われたら嬉しい」という声もあるのですが、不快に思う人も一定数いるのは事実です。

「告ハラ」と別の文脈でいうと、最近では、#KuTooの署名発起人でありグラビア女優・ライターの石川優実さんがこのように述べていますね。

私のコンプレックスは、「自分が好きになった人に好きになられたことがほとんどない」ということだ。

こうやっていうと全然知らない人が「僕が愛します!」と言ってくる現象が起きるのだけど、そんなことは望んでいないし気持ち悪い。 これは「私、セックスが好き」というと「じゃあ僕と」となるあれと似ている気がして気持ち悪い。

誰も「誰でもいいから愛して欲しい」なんて言ってないし、「誰でもいいからセックスしたい」なんて言ってないのだ。

出典:好きになった人に愛されたのは、30年間の人生で一人かもしれない。ずっと一人の私は惨めだ。

ちなみに、「告白」や「セックスの申し出」という決定的なアプローチではなくて、もう少しライトな誘いならいいのかというと、そうとも限りません。

二人だけで食事にしつこく誘われるのはセクハラか

相談者の疑問:私は既婚バイトです。直属の上司(既婚、管理職)に2人だけで食事にしつこく誘われます。断っても次の日には何事もなかったかのように誘ってきます。上司はもちろん私が既婚というのを知っています。

セクハラに該当するでしょうか?断って行かなくて済んだときもありますが、ほとんどは連れていかれました。

波多野 進弁護士:ハラスメントに該当すると思われます。証拠を確保した上で、より上の上司か会社に改善中止を求める動きをしてもいいと思います。

上記のように、しつこく食事に誘う行為はセクハラに該当する可能性があるようです。

出典:卑猥な発言やしつこく食事に誘うことはセクハラになるのか

これについては、「いやいや、”アプローチ”と”しつこく誘う”はぜんぜん違う」という反論があるでしょう。

確かにそうですが、線引きが相手の感じ方によって違う以上、意中の相手にアプローチする際にはきちんとリスクを念頭に置いておくべきです。

関係が深ければいいわけでもない「ぬいぐるみペニスショック」

以上、今は見知らぬ人からいきなり恋愛感情を向けられるのが不快たりうるということについて書きました。

では、段階を踏んで少しずつ仲良くなってアプローチしていけばいいのか?

理屈の上ではそうなのですが、実践は容易ではありません。

仲の良い友人からの性的アプローチは、また違った意味で相手に不快感を与える(そして当然OKももらえない)リスクがあります。

とくに(ヘテロ)女性に多い傾向ですが、恋愛感情・性欲なく”人として”好きな男性から告白されると、ショック、不快感を覚える方が少なくないようです。

この現象には、「ぬいぐるみペニスショック」という名前がついています。

【ぬいぐるみペニスショック】女性は恋愛感情なしに仲の良かった男性から突然告白をされると、まるでぬいぐるみから唐突にペニスが生えてきたような気持ちになる – Togetter

こういった「仲が良かった人に告白されて嫌な思いをした/告白して嫌われた」という経験はセクシュアリティに関わらず一定程度の人数の方が経験していると思います。

このような現象を念頭におく限り、アプローチをする側は慎重にならなければならないと言えるでしょう。

「トライ&エラー」を、「エラーされた側」から眺めてみる

このように、

・関係の浅い人からの告白 → 「告白ハラスメント」

・関係が深い(だがしかし性的対象ではない)人からの告白 → 「ぬいぐるみペニスショック」

ということで、相手に不快感を与えずに恋愛的アプローチをすることは、原則的には針の穴を通すように難しいのです。

世の中には割とカップルが多いので、パートナーができるのは当たり前のことのように錯覚されがちですよね。

しかし、先天的に魅力を持っているか、恋愛工学を完璧にマスターした人か、たまたま相手とフィーリングが合った人以外にとって、好きな人と両想いになることは奇跡的に難しいことなのです。

実際に、いつでも恋愛に恵まれているように見える人でも、見えないところで何回もトライ&エラーをしています。

そして、この「エラー」は、アプローチした側から見れば「今回はうまくいかなかった!次々!」という切り替えで済むことかもしれませんが、声をかけられた相手からすれば、一方的に恐怖感・不快感を押し付けられた出来事でありうるのです(もちろん、そこまで嫌な思いをしない人もいます)。

・10人の人と付き合うあのモテ男は、その間に50人の女性にハラスメントしているかもしれません。

・100人の女性を落としたあのナンパ師は、その間に10000人の女性にハラスメントしているかもしれません。

キラキラした恋愛エピソードの裏側にある人の痛みに、我々は少しでも思いを馳せるべきではないでしょうか。

加害のリスクを頭に入れて恋愛する

今回は、「意中の相手へのアプローチは加害になる」ということについて書きました。

どのような関係性の相手に声をかけようとも、残念ながら恋愛にはいつでも加害-被害の関係に飛び込むリスクが存在します。

もちろん、「絶対に恋愛するな」などというつもりはありません。

ただ、「当たって砕け」られる相手の感情への配慮は必要です。

体験し得ない他者の感情に寄り添う姿勢が、回り回って恋愛の成就にも結びつくのでは無いでしょうか。たぶん…

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