ヒズボラとは?「テロ×合法政党×社会サービス」の複雑な組織

ちぐはぐアクティブ・ラーナーの「凡さんす」(@academicocktail)です!

イスラーム主義組織「ヒズボラ」を聞いたことがありますか?

シリア内戦のニュースなどでよく出てくるので、そこまで国際情勢に詳しくなくても聞いたことはあると思います。

では、どんな組織だというイメージを持っていますか?

テロ?危険?怖い?

今日は、一言では言い表せないヒズボラの様々な側面を紹介します。

ヒズボラとは?

By Institute for National Strategic Studies (INSS.) – Strategic Assessment 1998: Engaging Power for Peace, Chapter 13, Nonstate Threats., パブリック・ドメイン, Link

ヒズボラ(アラビア語: ‮حزب الله‬‎, 翻字: Ḥizb Allāh)は、レバノンを拠点とするイスラーム主義組織です。

1982年、同国の内戦にイスラエルが介入してきたのをきっかけに、「抵抗組織」として結成されました。

その活動目的は、日本の公安調査庁の説明によると、

主たる目的は,中長期的には,レバノンにおけるシーア派主導のイスラム国家樹立及びイスラエルの滅亡であるが,短期的には,レバノン国民議会での議席獲得を通じた合法活動の拡大である。

出典:ヒズボラ | 国際テロリズム要覧(Web版) | 公安調査庁 2018年11月1日最終閲覧

とされています。

ヒズボラの3つの側面

前項では曖昧に「イスラーム主義組織」と表現しましたが、ヒズボラには様々な側面があります。

この記事では、大きく次の3つに分けて説明しましょう。

(1)軍事・テロ組織

(2)合法政党

(3)社会サービス組織

(1)軍事・テロ組織

まず、一般的によく伝わっていると思われる、軍事組織・テロ組織としての側面について。

上記の通り、イスラエル(およびそのバックにいるアメリカ)への「抵抗」というスローガンのもと団結した組織です。その価値観通り、結成から現在に至るまで、イスラエルなどを相手取って数多くの紛争を行ってきました。

また、正面からの衝突のみでなく、在レバノン米国大使館爆破(1983年)や、トランスワールド航空847便テロ事件(1985年)など、多くのテロ行為も実行しています。

さらに、活動範囲は中東のみにとどまらず、在アルゼンチンイスラエル大使館の爆破事件など、他地域におけるテロ行為にも幾度か関与したとされています

(2)合法政党

軍事組織としてスタートしたヒズボラでしたが、1990年にレバノン内戦が終結すると、イスラエルに対する「抵抗組織」としての大義名分が怪しくなります。

そこで、ヒズボラは政党化の道を選びました。内戦終結後の第二共和政において、ヒズボラは選挙で議席を獲得してレバノン政治の主要アクターの一つになります。

ここで注目すべきなのが、ヒズボラが自分たちの軍事力を保持したまま政党化したことです。

内戦の終結後、和平合意の内容によって、多くの民兵組織が武装解除して政党へと転じました。

ところが、ヒズボラは、イスラエルやアメリカに対する「抵抗」の使命を主張して、武装解除を拒否しました。

実際、当時はまだ南部がイスラエル側の組織に占領されていたこともあり、ヒズボラの非武装化は免除されることになります。

こうして、異例の「武装政党」が誕生しました。

実際に、政党に転じたのちも、イスラエルと国境付近で交戦したり、2011年以降のシリア内戦に介入するなどしています。

(3)社会サービス組織

最後に、社会サービスを行う主体としてのヒズボラの側面を紹介しておきます。

その前に、ヒズボラの組織像を超ざっくり説明すると、最高決定機関である「諮問会議」の統制の下、「財務部門」「戦闘部門」などのいくつかの「部門」が業務を担当しているという形です。

その一つに、「社会部門」という部署がありまして、その系列には多くのNGOが存在しています。

ここで、「社会部門」傘下の代表的な2つの組織の活動内容を見てみましょう。

<ヒズボラ系列NGOの活動例>

イスラーム福祉支援協会:「貧困層・孤児・障がい者への経済支援や自立支援、保健衛生管理、年金などの社会保障、特殊学校の運営など」

建設ジハード協会:「医療期間の整備・運営、水や電力の供給、ゴミ収集や清掃業務、住宅開発、道路整備、農村開発・農業支援、マイクロクレジットや独自の社会保障を通した貧困層への支援など」

「」内は(末近, 2013, pp.231-233)より引用。

もう一度言いますが、彼らは政党です。ひとつの政党がここまでがっつり社会サービスを行うというのは、日本に置き換えてみると、ちょっと不思議ですよね(自民党が勝手に電力を供給しているようなもんです笑)。

とはいえ、こういうことが起こっているのにも理屈があります。

長年の内戦でめちゃくちゃになったレバノンには、国の公共サービスが行き届いていないところが多いので、その穴を埋める形で、ヒズボラがサービスを提供しているのです。

困っている人を助けるため活動しているのか、それとも組織の影響力拡大を考えた事業なのかはわかりませんが、戦闘やテロ行為だけでなく、こうした慈善事業に取り組んでいるということは、少なくとも事実のようです。

おわりに

今回は、多様な顔を持つイスラーム主義組織ヒズボラを、3つの側面にまとめて解説してみました!

アメリカやその同盟国イスラエルはヒズボラのせいで多くの命を失っているため、これらの国々での報道の伝わり方としては、どうしても「テロ組織」「危険」というイメージが強くなります。

それは、アメリカと同盟関係にありその影響を強く受ける日本においても同様です。

しかし、政治活動や社会活動などの側面も合わせて観察することで、組織の全体像が浮かび上がりますし、彼らの軍事行動について深く理解することにもつながるはずです。

気になった方は、ぜひ自分でも調べてみてください。


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参考文献

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