【感想】新渡戸稲造『武士道』のココがすごい!

ちぐはぐアクティブ・ラーナーの「凡さんす」です!

日本ものの古典としては必ず名前が挙がってくる新渡戸稲造の『武士道』。

「名前は聞いたことあるけど、実際に読んだことはない」という方は割と多いのではないでしょうか?

今日は、「これから読んでみようかな?」と考えている方向けに、あまり内容には触れずにどういう本なのかを紹介します。


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新渡戸稲造『武士道』とは?

武士道』は、主に明治時代に活躍した学者・思想家の新渡戸稲造によって書かれた本です。

日本における「武士道」がどのように形成され、それが日本人の振る舞いにどのような影響を与えているのかを解説しています。

日本の思想を解説した本ではありますが、当時の西洋人をターゲットとして書かれているため、オリジナルは英文です。

ちょうど日清戦争などで日本が注目を浴び始めた頃に出版されたために、ヨーロッパでは大きな反響を呼んだと言われています。

ココがすごい!

武士道がとにかくすごいのは、日本の武士道を解説するために、たとえ話として、ヨーロッパ文明の古典が多分に引用されていることです。

日本人のこういう考え方・振る舞いは、一見ヨーロッパ人からしたら理解不能に見えるかもしれない。でも、これって実はキリスト教のこの言葉と同じ精神なんですぜ

といったニュアンスの解説が全編にわたってなされており、ヨーロッパ古典に関する筆者の引き出しの量がえげつないことが見て取れます。

例えば、武士が自殺するときに腹を切る理由を説明するために、以下のような話を出しています。

モーゼは『旧約聖書』で「ヨセフその弟のために腸焚くるがごとく」と述べ、ダビデは主にその腸(あわれみ)を忘れないようにと祈り、イザヤ、エレミア、そして昔のれいかんを受けた人々も、腸が「鳴る」もしくは「いたむ」と言った。これらはいずれも腹部に霊魂が宿るという、日本人の間では広く信じられてきた信仰と共通している。

出典:新渡戸稲造(著), 岬龍一郎(訳)『武士道』PHP文庫, 2012年, p.123

別の箇所では、「主君への忠誠は「良心の奴隷化」ではない」(=主君の命令だからとは言って、間違ったことはしない)ことを説明するために、次のように述べています。

武士道は私たちの良心が主君の奴隷になることを要求しなかった。トーマス・モブレー(英国の詩人)の次の詩は、まさに私たちの気持ちを代弁している……

畏るべき君よ、わが身は御許に捧ぐ、

わが生命は君の命のままなり、

我が恥はしからず。

生命を棄つるは我が義務なり、

されど死すとも墓に生くるわが芳しき名を、

暗き不名誉のように供するを得ず。

出典:同上, p.102

私のような一般大学生からすれば”Who is トーマス・モブレー“でしかない以上、こうやって適切な場面で適切なフレーズを引用できる新渡戸稲造が、ヨーロッパと日本の両方の文化に対して相当な量勉強していたことがわかります。

おわりに:相互理解の難しさ

武士道が長い年月をかけて育んできたさまざまな徳目を考察するにあたり、私はこれまでヨーロッパの例を用いて比較や説明をしてきた。そして武士道の特質とされるものが、どれ一つとして「武士道のみ」の遺産ではなかったことを見てきた。

出典:同上, p.173

この本を読んだときに、保守的な人であれば、「武士道は素晴らしい!やっぱり日本人は武士道に変えるべきだ!」と考えるでしょうし、逆に革新派の人であれば、「武士道はもう時代に合わない。忠義ではなくてこれからは個人主義だ」と判断するかもしれません。

ですが、両方の立場の人が共通して本書から学べることがあります。

それは、「文化の相互理解がいかに難しいか」ということです。

この本を読んでいただければわかるのですが、新渡戸稲造は、自分が解説する主題である日本の「武士道」についてはもちろん、ヨーロッパの宗教や哲学についてもものすごく詳しいです。かりにたくさん本を読んでいたとしても、その内容をちゃんと覚えていて、自分の知識として使えるかどうかはまた別の話です。和と洋の両方に関して大量の知識をインプットし、しかもそれを適切な場所で引用できるほどに自分の知識として定着しているというのは、どれくらい勉強したのかちょっと想像がつきません。

少なく見積もって、現代の平均大学生100人分くらいの知識量があります(適当)。

異文化理解をするためには、もしくは自文化を正しく発信するためには、お互いの文化を深く深く理解している必要がある。何度も言われていることではありますが、そのことを改めて考えさせてくれる本でした。


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※アイキャッチ画像は Unknown/Wikimedia Commons (Public domain)

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