【書評】小川榮太郎『徹底検証 安倍政権の功罪』

こんな人にオススメの本を紹介します↓

安倍政権についてどう思いますか?

総裁選勝って欲しいですか?負けて欲しいですか?

…その前に、安倍政権がやってることを、どれくらい理解していますか?

私は、若年層の中では少なくとも中の上くらい、政治に対する理解はあるかと自己評価していますが、安倍政権に対して持っているイメージは、概ね以下の通りです。

・日米外交は好調

・アベノミクスは部分的に成功

・憲法改正しようと頑張っている

・モリカケはだいぶ気まずい

他にもありますが、だいたいこんなもんです。政治ニュースを「一応追ってる」くらいの方であれば、大体おんなじような印象をお持ちなのではないかと思います。

ですが、これはもちろん安倍政権の全体像からすればほんの一部でしかないわけでして、もっと他の面に着目すれば面白いこともいろいろ見えてきます。

この記事では、「メディアは普段からなんとなく追っている。一歩進んで、あまり強調されてない安倍政権の功罪についても知って意見を深めたい」という方にオススメの本を紹介します。


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本の概要:保守寄りの中立

今回紹介するのは、こちらの本です。

著者の小川榮太郎氏は、本書の趣旨を次のように説明しています。

「政治は結果だ」というのが、安倍氏の口癖だ。

安倍政治は本書観光時点で五年八ヶ月続いている。

さすがにもう、「安倍政治」の結果は出ているというべきだろう。

本書は、現時点で明らかになっている「安倍政治」の結果を、可能な限り客観的に叙述したうえで、論評したものである。評価した点もあれば批判した点もある。絶賛もあれば酷評もある。

出典:小川榮太郎『徹底検証 安倍政権の功罪』悟空出版, 2018年, p.4

大きく分けて、アベノミクス外交安全保障の3つのテーマについて、安倍政権を批評しています。

本文全体を通してどちらかといえば保守寄り(親安倍)の論調であることは否めないのですが、とはいえ、手放しに評価することなく、咎めるべきところは咎めており、一般人向けのテキストとしてはある程度適切な本であるといえます。

特長:外交政策に詳しい

様々な論点で安倍政権を評価している本書ですが、大きく紙面を割いており、かつ読んでいて発見が大きかったのは外交政策のパートです。

安倍外交といえば、首脳同士の個人的友情を武器にした日米外交は、比較的報道もされており、なんとなくイメージを持っている人は多いと思います。

しかし、当然と言えば当然ですが、首相が外交しているのはアメリカだけではありません。本書を読むと、あまり強調して報道されない安倍外交の様子が見えてきます。

インドオーストラリアとの外交って、普通にネットやテレビ、新聞で情報を追っているだけだと、あんまり印象に残っていないんじゃないでしょうか?

実は、これらの国々は、今後ますます日本にとって安全保障上の重要なパートナーになっていく可能性が高いのです。

こうした点も含めて、安倍政権の外交面における功績をあますことなく書いていますので、この点では非常に勉強になるかと思います。

名言と感想:国としての「停滞に甘んじる精神」

評論ですので、もちろん事実を淡々と述べるだけではなく、筆者の知見と政治思想に裏付けられた興味深い論評も随所に散りばめられています。

なかでも印象に残っている部分を1つ紹介しますね。

筆者は、安倍政権の「働き方改革」が「労働現場で日本人の労働意欲や労働環境を規制して」おり、これを是正しなければ「向上心に溢れ、苦労を厭わない外国人労働者」によって、「法律で過干渉され、社会思想によって甘やかされた日本人が労働市場からはじき出される時代が到来する」と警鐘を鳴らしています(p.182)。

面白いのはここからで、経済上の停滞マインドを、安全保障の問題とつなげて次のように論じています。

高いサービスにまどろみ、今日の停滞に甘んじる精神と、安全保障上の平和ボケとは同じコインの裏表なのだ。

我々は「足るを知る」個人たり得る。高インフラ社会から離脱して、田舎暮らしをして、自分の農地を持つことも、家電製品に頼らない暮らしをすることも素晴らしい選択だろう。

出典:同上, p.182

多くの人は、資本主義社会における競争に疲れて「猫のようにのんびり暮らしたい」と考えることがあると思います(笑)

それは、個人としては許されることだと。

だが、国として「足るを知る」国家に転換することはできない。

出典:同上, p.182

それは「日本の地政学的、歴史的、民族的な宿命」であると筆者は言います。

……米中ロという軍事三大国の衝突地点であることも避けようがない。エネルギー、資源、食料を輸入に依存する国家体質も受け入れられる他はない。

国家としては、成長と自前の安全保障を全力で達成し続ける他に道はないのだ。

成長マインドは、我が国においては、切実な安全保障そのものなのである。

出典:同上, pp.182-183

ここまで読んで、「じゃあ9条を改正すべきだ!」などという結論になるのかどうかは各人に考えていただきたいことなのですが、いずれにせよ、

個人が競争から離脱することは許されるが、国家としては、国際社会の中で負けないように成長を続けなければならない。
というのは「なるほどなー」と思いました。

こんな人にオススメ!

受動的にメディアを見ているとあまり入ってこない安倍政権の功罪
を知って、安倍政権について多面的に考えたいという人にはオススメな本です。

・【経済】「アベノミクス」という単語は知っていても、「何がうまくいって、何がうまくいっていないのか」まではパッと出てこない。

・【外交】「アメリカと仲良し」「北方領土返還のために頑張ってる」くらいまではわかるけど、他の国とどんな関係なのかは分からない。

という方は、一度手に取ってみるといいと思います。

おわりに

安倍政権って、ここ最近の日本では珍しい長期政権ですし、単に長いだけではなくて外交・内政ともに動きが大きい政権でもあります。

成功している面もあれば問題視すべき面もあり、どう転ぶにせよ、数十年後に「平成」が歴史の教科書の一部になった際に、大きく取り上げられる期間だと思うんですよね。

その重要な時代に生きていて、自分の肌感覚でそれを語れるというのは、ある意味「特権」であるといえます。

ですので、とりあえず読みやすい本1冊からでも手に取って、自分の意見を形成するところから始めてみてはいかがでしょうか?

今回は首相寄りの本を紹介しましたが、野党寄りの本もこちらで書評しております→【書評】枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」

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